外国人墓地墓参を行いました
2007年11月12日(月)

外国人墓地見学記
山口 慶四郎
 この11月12日、協会から神戸市立外国人墓地に眠るロシア人の墓参と調査の誘いがあり、かねてより訪ねたいと思っていたところなので、それに参加した。再度山(ふたたびさん)の山懐に抱かれたこの墓地には宗教・宗派別に埋葬された墓石が約2,700基あり、うちロシア人は146柱という。
 この墓参にはプロホロフ在阪ロシア総領事、東京からは大使館勤務のガムザ参事官ら数名のロシア人も加わった。諸事情で一時間少々の現地調査だったので、十分に墓参できず残念だったが、面識があったオレスト・プレトネル(大阪、天理、神戸などの外大、京大などで会話・音声学正教授)、ゾーヤ・桜木(神戸外大で会話教授)、ヴァレンチン・モロゾフ(コスモポリタン製菓の経営者)夫妻らの墓前に額ずくことができた。
 この日最大の収穫はニコライ・マトヴェーエフ(1865?1941)の墓石を発見したこと。氏は日本(箱館ロシア領事館*)で生まれた最初のロシア人といわれ、晩年に神戸の中山手通りで古書店を経営していた。私がこの書店に出入りしたのは戦時下の学生時代のこと。すでに故人で、夫人とおぼしき老婦人が店番をしていた。そこで買い求めたゴーリキーの『どん底』、プーシキンの『エヴゲーニー・オネーギン』(いずれも旧正字による出版)は私の愛蔵書である。
 ほかに何人かの知人ロシア人の墓石を探したが、見つからなかった。再度の見学、調査を期待しながら秋色深まる外国人墓地を後にした。
(*箱館は当時こう記した。函館ではない)
(大阪外国語大学名誉教授)


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