神戸市民リガ親善訪問団


神戸リガ友好委員会では、8月末23日から31日まで「神戸市民リガ親善訪問団」(団長、杉田哲副会長)を送り、神戸市代表団(団長、梶本日出夫助役)、労働組合、神戸市婦人文化協会とともに、8月24・25日にリガで催された神戸リガ姉妹都市提携30周年記念行事に参加しました(リガのほか、サンクトペテルスブルグ、ヘルシンキを訪問)。


昆 美也 『忘れられないリガの思い出』 

 この度、「神戸市民リガ親善訪問団」に加えて頂き、素敵な方々と共に、得難い体験と美しい想いでを沢山いただくことができ、感謝しております。
 かねがね私にとってサンクトペテルブルグは憧れの街でした。金色に輝くイサク大聖堂や、絢爛豪華なエカテリーナII世宮殿、世界の美と文化美術を網羅したエルミタージュ美術館など、総てが目を瞠る美しさでした。けれど、今回の旅行で最も心に強く残ったのは「リガ市の自然や街の美しさ」でした。
 外国を訪れる時、私は何時もその国の案内書を買い求め、ツケ刃的な僅かな予備知識ですけれど、勉強して訪れることにしています。2〜3の書店を探してもラトヴィアと言う国名やリガと言うと都市名の案内書はなかったので、ほとんど未知の国として訪れることになりました。
 先ずヘルシンキでプロペラ機に乗り換え、まだ薄明るい20時40分リガ市到着、翌8月24日の早朝私達はリガの旧市街を歩きました。街は豊かな自然の中に13〜18世紀の薫りを留めた、古色蒼然とし乍らも華やかさに満ちたゴシック式の建物が今猶生き生きと息づいていました。くすんだ赤レンガの壮麗なバロック建築の大聖堂、市を取り巻いて延々と丘を巡るレンガの城壁、聳え立つ火薬塔、華やかな色調に彩られた庶民の住んだ家、中には1世紀毎に15、16、17世紀に建てられた3兄弟と名付けられた家が3軒肩を寄せ合って建っているのも楽しい建築物でした。輝く緑に溢れた公園には、昔を語る数々の石の彫像、人々がベンチで語り合っていると、その傍らからヴァイオリンやアコーディオンの調べが流れてくる花一杯の広場、そしてこの街に住む心温かい人々が私たちを迎えてくれました。
 10時から「姉妹都市提携30周年祝賀式」が開かれました。ボイヤス市長のご挨拶とそれに続く訪問団代表の方々の返礼のご挨拶で、より堅い交流が約束されました。調印と記念品の交換が有り交流の絆は益々深まり、新しい発展が始まった瞬間でした。
 その夜開かれた祝賀パーティーのテーブルを飾るお手製のお料理の数々は、ラトヴィア産のワインと共に、温かい心のこもったゆき届いたご馳走でした。少年少女合唱団の歌う民族コーラスは力強く会場に響き渡り拍手が鳴り止みませんでした。
 次の日から見学した、見渡す限りの森に囲まれたトゥライダ城も、素朴な国立リガ動物園も、バルト海に面したユル・マラの高級リゾート地も、又食事を頂いた民族料理の各レストランも、観光に訪れる人も未だ少なく、人の手の及んでいない自然の残された美しい環境の中で、私は夢の様な三日間を過ごさせて頂きました。
 リガ市で過ごした日々は私はいつまでも忘れる事はないと思います。
(『日本とユーラシア 兵庫県版』、No.259より)